日本草地学会誌
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研究報文
  • 黄川田 智洋, 眞田 康治, 藤森 雅博, 春日 重光, 秋山 征夫
    2024 年 70 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2024/04/26
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル 認証あり

    オーチャードグラスの育種選抜の省力化と客観化を進めるため,UAVによる空撮画像から,植生指標rGを求め,育種家による従来法での草勢,罹病程度,越冬性を合わせた総合評価との相関を見たところ,非常に高い相関が見られたが,越冬性評点と評価時のrGとの相関は見られなかった。選抜後代の越冬性,罹病程度,収量を比較したところ,rG選抜系統は,従来法とほぼ同等もしくはやや優れる結果となった。ペレニアルライグラスにおいても,母材との世代間比較を行ったところ,rG選抜では母材の年間収量比で103-107%と上がっていた。これらのことから,rGによる育種選抜は,育種家が行う選抜と同等の選抜効果が得られ,省力的かつ客観的な選抜方法として利用可能なことが明らかとなった。

  • 三枝 俊哉, 松山 哲太, 宮村 悠希, 竹林 慶斗, 山本 真生, 岩本 洋平, 西道 由紀子
    2024 年 70 巻 1 号 p. 10-21
    発行日: 2024/04/26
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル 認証あり

    北海道のウシ放牧草地で開発された必要施肥量算定法の,ヒツジまたはウマ放牧草地に対する適用可能性について検討した。牧区ごとに放牧家畜の体重を面積当たりで積算し,その2.38%を被食量とみなす。この被食量を独立変数とする推定式により,窒素,リン,カリウムの必要施肥量を算出する。これと年間施肥量との差から養分収支を得る。この養分収支を放牧前後の土壌養分変化量と比較し,必要施肥量の妥当性を検証した。両者はウシ放牧草地で得られた結果と同程度の推定精度で良好に対応した。外れ値の比較的大きな牧区では,傾斜や透排水性等の土地条件,放牧圧等の管理条件に原因が想定された。これにより,ヒツジまたはウマの放牧計画立案時点で想定される放牧期延べ体重に応じ,ウシと共通の論理で年間施肥量を計画することが可能となった。

  • 矢島 昂, 宮地 慎
    2024 年 70 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2024/04/26
    公開日: 2024/05/28
    ジャーナル 認証あり

    年間3回刈りのアルファルファ(AL)とオーチャードグラス(OG)を番草ごとに異なる新鮮物重割合で混合してサイレージ調製を行い,材料草の成分およびサイレージの発酵品質について調査した。全番草でOGの混合割合が増える程材料草の粗タンパク質含量および緩衝能は減少し,可溶性炭水化物(WSC)含量は増加した。両草種とも2,3番草に比べ1番草で材料草の乾物含量は低く,WSC含量は高かった。1番草ではOGの混合割合が増える程乳酸含量は増加し,pHは低下する等,サイレージの発酵品質は改善された。Vスコアの結果より,1番草ではサイレージ発酵の観点から適切な混合割合はAL:OG=30:70程度と考えられた。一方で2,3番草ではOGの混合割合にかかわらずpHは高く有機酸含量は低かったことから,サイレージ発酵は十分に進まなかったと推察された。

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