日本草地学会誌
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長草型野草地における改良牧野の造成利用に関する研究 : 第1報 播種床と施肥水準別の導入8草種の生産性と採食嗜好性
三股 正年高野 信雄広田 秀憲石川 秀勇山下 良弘宮下 昭光渡会 弘
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1966 年 12 巻 3 号 p. 122-132

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抄録
1)長草型野草地を耕起・砕土を行なった場合と,火入れ後に簡易に砕土処理をした播種床においては,生草量については差がなかったが,牧草率においては耕起砕土の整地処理がすぐれていた。そして施肥量の多い区では草量と牧草率が改善された。2)簡易な播種床に適応性を示す草種として,アカクローバ,アルサイククローバ,ラジノクローバ,メドウフエスク,オーチャードグラス,チモシーの順であり,ブロームグラスとペレニアルライグラスは比較的低かった。3)肥料に対して反応性の高い草種として,アカクローバ,ラジノクローバ,アルサイククローバ,チモシー,オーチャードグラス,ペレニアルライグラス,メドウフエクの順であった。4)肉牛の採食嗜好性は施肥量の多い処理区ほどすぐれていることが認められた。5)原土壌に比較して処理3年後の土壌は,燐酸,加里および石灰の成分含量が減少しており,刈取条件下での草地改良にあたっては,基肥としての燐酸の重点施用のほかに,合理的な追肥の必要性が示された。6)造成経費のうち,播種床造成までの経費が70〜80%を占め,施肥量の増加にともなって経費が高くなるが,それ以上に草量が増加するために経済的な牧草生産がなされた。
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© 1966 著者
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