日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
Print ISSN : 0447-5933
ISSN-L : 0447-5933
光反応性牧野草種子の休眠覚醒機構 : 第4報 オーチャードグラス種子の登熟経過と発芽習性
清水 矩宏池谷 文夫田島 公一
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1975 年 21 巻 2 号 p. 79-85

詳細
抄録
オーチャードグラスについて,その登熟過程の種子形成状態および発芽習性の変化を検討した。結果は次の通りである。1)オーチャードグラス種子は品種あるいは採種地をとわず,18℃および23℃の光条件下では高い発芽率を示したが,より高温域では光条件下においても発芽率は低下し,顕著な温度依存性光発芽習性を示した。2)アオナミ種子の登熟過程を種子の形成状態および発芽習性の面から整理すると次の3期に区分しえた。第1期;開花後7日目頃までの時期で,乾物重の増加は比較的ゆるやかで含水率も高く,まだ発芽能力を有しない。第2期;第1期以降28日目にかけての時期で,乾物重は急激に増大し,含水率は漸減する。この時期の種子は母体から強制脱粒した直後には発芽しないが,その後の風乾過程において温度依存性光発芽能力を獲得する。とくに2〜3ヶ月の風乾でより熟度の進行した種子と同様の発芽習性を示す。第3期;開花後28日目以降の時期で,乾物重,含水率はともに平衡状態となり,種子は外観的にも完熟する。この時期では母体から脱粒した時点ですでに著しい温度依存性光発芽習性がみられ,その後の風乾過程でも変化しない。3)開花後30日目に採取したアオナミ種子に対するprechilling処理の休眠覚醒効果は,脱粒直後の含水率の高い時点では認められず,一度風乾し含水率が低下した場合に発現した。4)種子形成過程の各時期の種子を3〜4ヶ月間風乾した場合,prechilling処理はいずれの時期の種子に対しても顕著な休眠覚醒効果を示したが,登熟過程の進んだ種子ほど短期間で有効であった。また,prechilling処理によって休眠覚醒した種子は熟度のいかんにかかわらず一定の発芽速度を示した。
著者関連情報
© 1975 著者
前の記事 次の記事
feedback
Top