抄録
放牧牛群の食草時におけるspatial patternに及ぼす草生条件-草量,連続放牧に伴なう草生悪化,草の分布-の影響を調査した。草量の影響は,牧草現存量の違う牧区に放牧した場合の牛群のspatial patternから調査した。草生状態悪化の影響は,連続放牧下での牛群のspatial patternの変化から調査した。草の分布の影響は,嗜好性の異なる4草種をそれぞれ単播にし,2aづつ二連制に配列した混合草地の牧区とオーチャードグラス単一草地の牧区とへの放牧におけるspatial patternの比較から検討した。spatial patternの調査方法は,前報およびMORISHITAの方法を使った。結果はつぎのとおりであった。1)草量の影響は刈り取り直後の草地,すなわち草量が極端に少なく,草の分布がまばらな草地,への放牧でのみ観察され,牛群は散開化した。2)滞牧日数の経過に伴ない放牧牛群は徐々に散開化し,ある点を越えて滞牧させると再び集結化した。3)単一草地での放牧に比べて混合草地での放牧で,放牧牛群は散開化した。