日本草地学会誌
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牧草のマグネシウム吸収に及ぼすマグネシウムとりん酸の施用効果
野村 忠弘
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1978 年 23 巻 4 号 p. 334-341

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抄録
オーチャードグラスのMg濃度と乾物生産に及ぼすMgとPの施用効果について試験を行なった。供試土壌は置換性Mg含量の少ない火山灰土壌である。結果の概要は次のとおりであった。1.牧草のMg濃度はMg施用量の増加にともない有意の相関で上昇した。しかし低温時に生育する牧草のMg濃度はMgの増施によって増加せず,低い濃度にとどまっていた。グラステタニー防止の面からみたADAMSの推奨値(DM中Mgとして0.22%)が適当であるとするならば,この値を確保するための安全施用量は本供試土壌では年間10kg MgO/10a,置換性Mg含量は8mg/100gに保つことが必要であると思われた。また,実際の栽培条件下で得られる最大値に近いMg濃度の牧草を得るためには置換性Mg含量を15mg/100g以上に維持することが必要であると判断された。2.牧草のMg濃度はP施用量が増加するにつれて低下することが認められた。P_2O_5/MgO施用比は牧草のMg濃度と密接な関係があり,この比が小さくなるにつれて牧草のMg濃度は増加した。この比の適当な範囲は2/1〜1/1であると考えられた。3.Mg施用に対する牧草の増収反応はMg無施用区に対して明らかに認められるが,本供試土壌では5kg MgO/10a以上の施用は有意な増収効果をもたらさなかった。置換性Mg含量が5mg/100g以上の場合,施用Mgに対する増収効果は期待出来ないものと考えられた。
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© 1978 著者
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