抄録
ソルガムの栽植密度が飼料価値におよぼす影響についてスダックスを用いて検討した。栽植密度は44.4,11.1,3.株/m^2の3段階とし,出穂期と開花期に刈取った。栽植密度を高めると単位面積当りの乾物収量,茎数は増加したが1株当りの分けつ数は低下した。茎の表層部の乾物構成比が高まったが疎植にすると髄部の比率が高まる傾向を認めた。密植するほど,また生育がすすむほど植物体全体の細胞膜構成物質(CWC),Acid Detergent Lignin (ADL)含量が増加した。逆にセルラーゼによるCWC分解率やin vitro法による乾物分解率(IVDMD)は低下した。可消化乾物(DDM)生産量は乾物収量に影響され,密植するほど高かったが,開花期では中密植区と密植区の間でほぼ等しい値を得た。栽植密度によって変化した飼料価値を部位別に検討すると,出穂期の場合,CWC分解率は髄,葉身,葉鞘,節で高く,茎の表層部のみ著しく低く他の1/3以下の分解率を示した。出穂期から開花期までの間の地上10cm以上の個体群生長率(CGR)は疎植ほど大きく,増加した乾物中に易消化性成分の比率が高まった。