日本草地学会誌
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草地における窒素揮散に関する研究 : 1.窒素揮散におよぼす牧草粉末の添加と土壌pHの影響
曹 晋基吉田 重方佳山 良正
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1981 年 27 巻 1 号 p. 85-92

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抄録
草地における窒素揮散の現象を明らかにすることを目的として,モデル条件下で牧草粉末を土壌表面あるいは上層土と混和し,発生する揮散窒素量を測定した。得られた結果は下記の通りである。1.添加した牧草粉末より揮散する窒素の主体はアンモニアであり,亜硝酸揮散量は著しく低かった。2.アンモニア揮散量は添加する牧草粉末の種類により異なり,アルファルファ>ラジノクローバ>オーチャードグラス>イタリアンライグラスの順に高かった。また,その順序は牧草粉末のC/N率の高低と密接な関係が認められた。3.牧草粉末の土壌への混和は揮散アンモニア量を顕著に低下させるが,亜硝酸揮散量は逆に増加する傾向を示した。4.土壌pHの上昇はアンモニア揮散の増加と亜硝酸揮散の低下に働いたが,酸性土壌条件下においても揮散窒素の主体はアンモニアであった。5.本試験の結果より,マメ科牧草地において生ずる高濃度のアンモニア揮散は主として土壌表面にあるC/N率の低いマメ科落葉によるものであることが推察されるとともに,石灰の表面施用が大気への窒素揮散を増大させ耕地の窒素損失に働くことが明らかとなった。
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© 1981 著者
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