日本草地学会誌
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クズの乾物生産ならびに葉面積の拡大に関する研究 : II.当年茎の乾物ならびに葉面積生産性における主茎と分枝の差異
津川 兵衛佳山 良正
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1981 年 27 巻 3 号 p. 272-276

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抄録

前報で供試材料として用いた同じ当年茎について,主茎と分枝の各器官重と葉面積割合,着葉率,茎重/茎長比,葉重/茎長比および葉面積/茎長比の月別変化を調査し,当年茎の主茎と分枝の乾物ならびに葉面積生産性を比較した。当年茎の乾物ならびに葉面積生産は5月上旬までは主茎のみ,6月上旬には主茎と1次分枝によって行われ,2次および3次分枝が乾物ならびに葉面積生産に関与するのは7月以後で,4次分枝は10月以後であった。当年茎の主茎と分枝の茎重割合に関しては,いずれの時期でも主茎の茎重が最大で,高次分枝ほど茎重は小さかった。これは分枝よりも主茎が,分枝のうちでは低次分枝ほど茎の肥大が旺盛で,木化が顕著なことによる。葉重(小葉重+葉柄重)割合に関しては,8月上旬までは主茎の葉重が最大で,高次分枝ほど葉重は小さかった。しかし,主茎の葉重は9月上旬には1次分枝の葉重を,10月上旬には2次分枝の葉重を下まわった。11月上旬には主茎の葉重は17%以下に減少した。このような主茎と分枝の葉重割合の季節変動は,主茎と分枝の出葉と落葉時期および葉を生産する力の差異によると推察された。花房は7月以後に現われた。4次分枝には花房の形成は認められなかった。花房重割合については,各時期とも1次と2次分枝の花房重を合わせると90%以上に達した。当年茎の主茎と分枝の葉面積割合の季節変化は葉重と同様の傾向が認められた。

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© 1981 著者
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