抄録
暖地型マメ科牧草スタイロ,すなわち,タウンズビル(Stylosanthes humilis cv. Townsville),エンディバー(S. guianensis cv. Endeavour)およびスコフィールド(S. guianensis cv. Schofield)とイネ科牧草ローズグラス(Chloris gayana cv. Pioneer)ギニアグラス(Panicum maximum)およびセタリアグラス(Setaria anceps cv.Kazungula)とを2水準の刈取間隔の下で混播栽培(マメ科・イネ科1草種づつ)し,南西諸島南部における実用栽培の可能性を検討した。年間合計乾物収量はエンディバーおよびスコフィールドとイネ科牧草との混播栽培で1150〜1500kg/10aとなり,スタイロの両品種は南西諸島南部における実用栽培が有望と考えられたが,タウンズビルの有望性は認められなかった。有望マメ科スタイロ2品種の年間合計乾物収量は,同伴イネ科草種と刈取間隔との組み合わせにより著しく変動し,刈取間隔が短い場合には長草のギニアグラス,長い場合にはセタリアまたは短草のローズグラスとの混播栽培が有利となった。また,このスタイロ2品種における乾物生産の適温は27〜28℃付近に存在すると推察され,気温が高い時期にはマメ科草混播により乾物増収が著しいことが明らかになった。