日本草地学会誌
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レッドトップ放牧草地における乾物生産の季節変動に関与する諸要因
岡島 毅大久保 忠旦佳山 良正
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1986 年 32 巻 1 号 p. 13-19

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抄録
前報で報告したデータを用い,レッドトップ草地の放牧条件下での乾物生産に対する諸要因の影響について,気象要因も含めて検討した。CGRは-6.0〜11.4であり,春に最大値を示した。CGRをNARとLAIとに分解すると,NARは-4.2〜10.2であり,LAIは0.30〜4.15であった。CGRはNARとは有意な正の相関を示した(r=0.748,P<0.01)が,LAIとは有意な相関を示さず,刈取り草地についての測定例とは逆の関係を示した。RGRは-0.009〜0.016と非常に小さな値を示したが,これは生産量に対して現存量が非常に大きかったためである。日平均降雨量,日平均日射量,平均最高気温のうち,とくに影響を与えたのは平均最高気温であり,CGRとは有意な相関を示さなかったが,NARとは負(r=-0.576,P<0.01),LAIとは正(r=0.758,P<0.01)の相関を示した。また,部位別の生産速度との関係をみると,地下部の生産速度とは負(r=-0.354,P<0.05),葉身の生産速度とは正(r=0.295,P<0.05)の相関を示した。すなわち,気温だけに関していえば,放牧条件下の草地での乾物生産は,気温の低い時期にはNAR,高い時期にはLAIの変動に依存していると考えられる。
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© 1986 著者
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