日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
Print ISSN : 0447-5933
ISSN-L : 0447-5933
ペレニアルライグラス(Lolium perenne L.)の放牧草地個体群のクローン構造
澤田 均大口 博之
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1994 年 40 巻 2 号 p. 205-213

詳細
抄録

ペレニアルライグラスが空中分げつによってどのように栄養繁殖しているかを明らかにするために,でんぷんゲル電気泳動法を用いて4年目放牧草地個体群のクローン構造を分析した。ペレニアルライグラスが株化している場所に2個のコドラート(各1×1m^2)を置き,その全64株について,PG1-2遺伝子型とGOT-2,GOT-3の表現型を比較した結果,54個(27個/m^2)のジェネット(クローン)が検出され,このうち9個のジェネットが2個以上のラメート(株)を分散させていた。これらのラメートはお互いにすぐ近くに分布した。一方,ペレニアルライグラスの密に分布する場所の5個のコドラート(各25×40cm^2)を分析した結果,132個/m^2のジェネットが存在した。各ジェネットはまとまって分布する傾向にあった。他方,10個の大株のクローン構成を分析した結果,6個の株が複数のジェネットから構成されていることが確認された。これらの事実から,ペレニアルライグラスの個体群の維持に空中分げつが貢献していること,一株中に異なるジェネットがしばしば混在していることが明らかになった。

著者関連情報
© 1994 著者
前の記事 次の記事
feedback
Top