抄録
青刈・ホールクロップ用エンバク(Avena sativa L.)として市販されている16品種を乳熟期に刈取り,その生育特性にデタージェント法や酵素法による飼料成分組成を加味して,品種の変異性を明らかにした。早晩性・形態・育種的な違いにより分類された4品種群のうち,極早生群と中生群はそれぞれ成分組成の均質性が高く,品種群として別個の飼料特性を備えていた。中生細茎群と晩生群は成分組成のばらつきが大きかった。エンバクとして一括評価するのではなく,各品種群の品質の違いを重視した栽培利用ならびに家畜への給与が必要であった。供試全品種の飼料成分の変異から,乾物中の含量として,粗蛋白質(CP)が高く,酸性デタージェントリダニン(ADL)の低い品種は繊維の消化率が良く,加えて中性デタージェント繊維(NDF)が低い品種は乾物消化率の高いことが示唆された。