2002 年 48 巻 3 号 p. 221-226
放牧用品種の基本的な特性を把握するために草丈約30cmでの多回刈り処理と重量約1tの車による刈取り後の踏圧処理を行い,収量と永続性について採草用品種と比較した。多回刈りと踏圧処理において放牧用品種は採草用品種に比べて収量と永続性が優れており,その差は踏圧処理においてより顕著であった。両処理において,放牧用品種は,採草用品種に比べて個体数が多く維持され,収量との間に有意な正の相関関係が認められた。また,放牧用品種の収穫後の葉量が多いことと再生時の草勢との間に密接な関連が見られた。放牧用品種は慣行の年3回刈り収量より低いため,その利用は現実的には困難であるが,刈取り時期の柔軟な対応や採草用品種との同種混播の可能性が示唆された。