日本草地学会誌
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ノア衛星データを用いた中国内蒙古シリンゴロ草原の地上部現存量の推定
川村 健介秋山 侃渡辺 修長谷川 久人張 福平横田 浩臣汪 詩平
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2003 年 49 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

中国内蒙古シリンゴロ草原において,ノア/NDVIデータを用いて広域的な草原の地上部現存量を推定する手法を開発した。この推定のために,あらかじめ現地調査やランドサットデータで均質な広がりをもつ草原を探索し,草旬草原6地点,典型草原13地点,荒漠草原1地点の計20地点で現存量を実測した。現地調査によって得られる地上部現存量と同時期のノア衛星データから得られた正規化植生指数(NDVI)の間で回帰推定を行った。この実測の地上部現存量をノアデータに対応させるため,約2km四方の各地点の中で700m間隔で9点の刈り取りを行った。その結果,20地点の現存量とNDVIの間に高い正の相関(r=0.62)が認められた。この回帰式によって算出される2001年8月時点でのシリンゴロ草原全休の平均地上部現存量は1,189kg/haで,14年前より約40%減少していると推定された。草旬草原と典型草原について個別に地上部バイオマスを推定することで,より高い精度(r=0.90, P<0.0001)の推定が可能であることか示唆された。また1地点の地上部現存量を推定するにあたって,最小の調査点数で調査できる手法を開発した。この手法を適用した結果,内蒙古草原での調査点数は5点でよいことか示された。

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© 2003 著者
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