日本草地学会誌
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ビール粕と発泡酒粕から調製したTMR型混合サイレージにおける発酵生成物と単少糖類の変化
西野 直樹原田 宏明坂口 英
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2003 年 49 巻 4 号 p. 367-372

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抄録

ビール粕と発泡酒粕を数種飼料と混合して(ビール粕あるいは発泡酒粕:ビートパルプ:オーツヘイ:フスマ:糖蜜-5:2:1:1:1),実験室規模のTMR型サイレージを調製した。貯蔵5,20および40日後に開封して発酵生成物と単少糖類の変化を調べ,ビール粕と発泡酒粕のサイレージ原料としての比較を行うとともに,粕類を利用した低水分サイレージの発酵特性について検討した。ビール粕と発泡酒粕のいずれも乳酸菌の増殖に好適な材料であり,排出後12時間以内に乳酸が生じていた。単少糖類の主体はマルトースとラフィノースであり,その量は発泡酒粕の方が多かった。TMR型で混合すると単少糖類はフルクトース,グルコースおよびスクロース主体となり,量および組成の違いはばとんどなくなった。TMR型サイレージは,乳酸あるいはエタノール優占型の発酵特性を示した。乳酸優占の場合でも,貯蔵に伴ってマニトールが蓄積したことから,主な発酵形式はヘテロ型と考えられた。エタノールの最大値は発泡酒柏を用いたサイレージで認められ,その量は75gkg^<-1> DMに達した。プロピオン酸以上の短鎖脂肪酸はほとんど検出されず,乳酸あるいはエタノールのいずれが優占した場合も良質と評価される(V-SCORE>80)サイレージが調製された。粕の種類は発酵生成物および単少糖類の変化のいずれにも影響したが,本実験の結果からは製造ロットによる発酵特性の変動の方が大きいと判断された。

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© 2003 著者
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