日本草地学会誌
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中国中山間地域における遊休農林地の放牧利用が肉用繁殖牛の栄養生理に及ぼす影響
谷本 保幸千田 雅之大島 一修小山 信明
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2003 年 49 巻 5 号 p. 465-470

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抄録

遊休農林地の放牧利用が肉用繁殖牛の休重変化や栄養生理状態に与える影響を明らかにするため, 遊休農林地を利用した放牧地(放牧地A, B)とシバ優占草地(放牧地C)の被食草量, 草種, 養分含量, 放牧牛の体重及び血液成分について調査した。 1か月間lm^2当たりの乾物被食草量は, 放牧地A, Bが放牧地Cに比べ高かった。放牧地Aの被食草種ではバーミューダグラスが41%, その他のイネ科32%, マメ科6%, その他21%であった。放牧地Bは, イネ科36%,シロクローバ12%, その他53%であった。放牧地A, Bの被食草の加重平均値ではCa及びPは高く, 放牧地AのCa/Pはほほ適正範囲内であったが, 放牧地BのCa/Pは高かった。イネ科草以外の草種ではCaがPの2倍以上であり, Ca含量も高かった。 すべての放牧地で休重は増加した。血清中Caは放牧地Aが有意に高かったが(P<0.05), カルシウム欠乏の指標値(8.0mg/dl)は上回っていた。血清中無機リン(IP)は放牧地Cが高かったが, リン欠乏の指標値(4.5mg/dl)を下回った個休がすべての放牧地で認められ, 放牧地A, Bでは50%を超えており, 前歴が飼料畑や果樹園などの放牧地でも, シバ優占草地と同様に放牧牛のリン欠乏に注意する必要があった。

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© 2003 著者
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