日本草地学会誌
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半自然草地および森林化した長期放任草地の群集構造
陳 俊堀 良通塩見 正衛山村 靖夫安田 泰輔高橋 秀昌伊木 瑞穂
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2005 年 51 巻 2 号 p. 143-151

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抄録
栃木県那須塩原市の畜産草地研究所に, 1970年代初期まで採草によって長期間維持されてきたススキ草地があった。この草地は人為的処理を継続した草地(半自然草地と呼ぶ)と実験的に放任した草地(すでに森林化した。アカマツ林と呼ぶ)に遷移してきている。本研究では, 半自然草地とアカマツ林林床の優占種, 種多様性, バイオマスおよび植物群集の空間的不均一性等の差異を比較した。(1)半自然草地では, 踏みつけや採食に強い耐性がある植物(シバ, メリケンカルガヤなど)が優占し, アカマツ林林床では, 耐陰性の植物(スイカズラ, チヂミザサなど)が優占していた。(2)アカマツ林林床では半自然草地に比べて, 種数・種多様性は1m^2以下の調査面積においては低いが, 調査面積を2m^2以上に拡大すると高くなった。(3)アカマツ林林床バイオマスの空間的不均一性は半自然草地より高かった。
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© 2005 著者
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