日本草地学会誌
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研究報告
窒素施肥と収穫時期が稲発酵粗飼料用品種「たちすずか」の材料草およびサイレージの化学成分と発酵品質に及ぼす影響
草 佳那子上垣 隆一木村 俊之
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 64 巻 1 号 p. 7-17

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抄録

窒素施肥量と収穫時期が異なる稲発酵粗飼料用品種「たちすずか」の化学成分と発酵品質を調査した。材料草の乾物率および単少糖類含量が低い乳熟期のサイレージは,酪酸が蓄積し,乳酸菌を添加しても不良発酵した。材料草の乾物率が30%以上,単少糖類含量が8 %以上だった黄熟期では,乳酸菌の添加によらず発酵は良好で,乳酸菌添加で酪酸生成が抑制された。完熟期は,乳酸菌無添加ではpHが低下せず糸状菌が残存し,乳酸菌の添加でpHは低下した。単少糖類,デンプンおよびビタミンE含量は黄熟期以降高く推移した。従って,高品質サイレージの調製には黄熟期以降の収穫が適当であり,特に完熟期は乳酸菌添加が必須と考えられた。また,黄熟期以降の「たちすずか」は乳酸発酵に十分な単少糖類を含量し,窒素多肥でも不良発酵しにくいことが明らかとなった。

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© 2018 日本草地学会
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