窒素施肥量と収穫時期が異なる稲発酵粗飼料用品種「たちすずか」の化学成分と発酵品質を調査した。材料草の乾物率および単少糖類含量が低い乳熟期のサイレージは,酪酸が蓄積し,乳酸菌を添加しても不良発酵した。材料草の乾物率が30%以上,単少糖類含量が8 %以上だった黄熟期では,乳酸菌の添加によらず発酵は良好で,乳酸菌添加で酪酸生成が抑制された。完熟期は,乳酸菌無添加ではpHが低下せず糸状菌が残存し,乳酸菌の添加でpHは低下した。単少糖類,デンプンおよびビタミンE含量は黄熟期以降高く推移した。従って,高品質サイレージの調製には黄熟期以降の収穫が適当であり,特に完熟期は乳酸菌添加が必須と考えられた。また,黄熟期以降の「たちすずか」は乳酸発酵に十分な単少糖類を含量し,窒素多肥でも不良発酵しにくいことが明らかとなった。