日本草地学会誌
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総説
仮説検定とp値問題:草地学・農学における統計的手法の正しい利用のために
塩見 正衛
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 66 巻 4 号 p. 209-215

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抄録

アメリカ統計協会(ASA)の声明(2016年)を契機に,p値と統計的検定の問題点を摘出,草地・農学における実験・調査研究へ問題提起を行った。ASA声明は,例えば平均の差の検定において,大きいp値や帰無仮説の受容は,平均が等しいことを意味していないこと,社会的な実情を顧慮せず, p値だけで科学的結論や政策決定を下すべきでないと述べている。本稿では,p値と統計的検定をめぐるFisher派とNeyman-Pearson(N-P)派の違いを示す。N-P派の検定は新技術創出や品種育成など技術的改良の検討に,Fisher 派の検定とp値重視は新知識の確定に適している。また,多重性はp値に影響するので誤用に注意しなければならない。統計学論理と実用面の教育の充実が,技術的改良や知識発見における錯誤を防ぐ。

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© 2021 日本草地学会
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