日本草地学会誌
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牧草中のTotal Available Carbohydrateについて
松本 達郎阿部 範男早川 実
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1963 年 9 巻 1 号 p. 8-12

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抄録
植物体中の炭水化物は,光合成による生成と,細胞内での消費とが絶えず行われているので,牧草の場合,採取時刻によつて,T.A.C.含量に差異を生ずるであろうことは,ある程度予想されたが,午前9時に採取した場合に比べて,午後3時に採取した場合は,T.A.C.含量が著しく高くなつていることを確かめた。5月の測定から6月の測定までは,僅か2週間しか経過していなかつたが,5月の測定値に比べて,6月の測定値は,禾本科,荳科ともにT.A.C.含量が著しく増加していた。しかし,粗蛋白質含量については,オーチヤードグラスの場合はほとんど変化なく,ラジノクローバー及びホワイトクローバーの場合には,粗蛋白質含量が幾分減少した。荳科牧草中のT.A.C.含量と粗蛋白質含量との間には,極めて密なる負の相関々係が認められ,葉についてはγ=-0.820,葉柄についてはγ=-0.846なる値が得られた。T.A.C.含量と粗繊維含量との間には有意の相関は認められなかつた。
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© 1963 著者
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