国政選挙と地方選挙においてなぜ投票行動が異なるのかを明らかにするための手掛かりとして,本稿は国政選挙と地方選挙の同日選挙の投票率について分析した.2004~2013年の参議院選挙が地方選挙と同時に行われた際にどの程度投票率が上昇したのかを,差の差法によって分析した結果,地方選挙と同じ日に行われると参議院選挙の投票率は平均で6.6%ポイント上がることが明らかになった.また,参議院選挙の投票率を上げる効果は都道府県よりも市区町村の選挙のほうが大きかった.さらに,市区町村の選挙は農村的な地域でより投票率を上げることがわかった.兵庫県の投票率データからは,農村的な地域では普段の投票率の大小関係が「参議院選挙<市区町村の選挙」となっており,同日選挙の効果の地域差の背景にはこの現象があることが明らかになった.分析結果の解釈から,効果の地域差の要因は各選挙への関心度と選挙動員の程度の違いであることが示唆された.