本稿では,福井県大野市を事例に,市および住民団体が行う地下水管理における相互の関係とその背後にある地下水に対する考えを明らかにした.そして,地下水管理の地域的課題を整理し,事例から示される地下水管理の可能性を考察した.大野市では,生活用水は地下水からもたらされる恩恵であり,その恩恵を受け続けるために住民による地下水管理が行われている.こうした規範が薄れ,地下水障害が発生した.地下水障害を契機に行政による地下水管理が開始され,地下水の量的・質的管理では市と住民とが協働している.一方で,市では地域の社会経済状況に応じて,地下水管理と相反するような政策がとられていることから,住民は市と対立している.こうした対立を解消するため,主体間の利害調整が必要である.住民は地下水に対する考えに基づいて地下水管理を行っているため,これを再評価し,利用者による地下水管理を形成することで,公的機関の課題を緩和することが可能となる.