2024 年 97 巻 5 号 p. 283-308
本稿は,地域レジリエンスや経路創造に関する進化経済地理学の動向を検討し,立地調整論の拡張を図るものである.地域レジリエンス論は,一時的なショックと持続的で緩やかに影響するスローバーンとの関係,および適応と適応力との関係を統合的にとらえている.経路創造論は,経路創造を変化エージェンシーと再生産エージェンシーの相互作用とみなし,非連続的な経路変化のモデルを提示している.また,経路創造の正統化を促進させる期待へ着目することで,進化経済地理学の射程は未来にまで拡張しつつある.進化経済地理学を導入した立地調整論は,非線形的な変化を強調するとともに,構造的要因だけではなくエージェンシーにも着目して考察することが特徴である.主に大企業の立地や組織上の位置づけ・規模の連続性をみる従来の立地調整論に,これら地域レジリエンス論や経路創造論を組み合わせることで,立地調整の理解を深めることができる.