抄録
近時の深層地震についての知識の撰大は吾人の造山觀念を悉大いに動揺ぜしめ,特に東亜近傍はこの種の地震の發現地であるから種々新しい東亜大地形の読明を試みることが必要と感ぜられる。深層地震の分布を見ても日本島弧の内側に向つて次第に深くなる起震面が考へられる。これは地下不蓮績面の多歎存在する中の-であるが,不蓮續面は今日までも造山運動論に於て重要視されたが,益々-層これを痛感する。この事は叉太午洋とユーラジヤ大陸塊の境界たる日本島弧附近を地殻の大不蓮續線として注意せしめる。この部の大地形の成立が不蓮續面に浩つた渦動として或程度まで説明される。
次に大地形研究法として次數破dersの問題を取扱ひ,雁行構造によつてや玉もすれば正確の認識を失ひ易いために第一次の雁行として山系の直分を日本島弧について行つた。そして更にRICHOFENに大體從つて東亜の山系を内陸列,海岸列,島弧列とした。この地殻不蓮績線に浩ひ大體並走する山脈系統は大陸環なる竜の曳存在を考へさせるに至る。東亜以外の太干洋周縁,大西洋印度洋の澹岸の性質を槍討して,やはりこれらにも大陸環の發達してゐる事が知られた。大西洋印度洋のそれはSUESSの所謂tabular fracture型で東亜大陸環の内陸列に比較的類似する。そして大陸環の意義についても-應考察を行つた。環太孕洋地域と共に世界の二大造山幣をなすヒマラヤ地中海造山幣もやはり不蓮續線として考へてよい性質を有し,二大造山帶が東亜地域にて接近し,その接近の影響した地形として北京のRost山地,熱河山地の威立が考へられる。
東亜大陸環の島弧列,海岸列,内陸列には夫々の特色がある。島弧の特色の一は,地殻の受ける力を大地形が微妙な點まで表現することである。内陸の地域では唯粗大に表現されるのみ。内陸方の大陸環が大西洋印度洋沿岸の大陸環の如くtabular fracture型なのは恐らくそのためであらう。東亜島弧列の特色をなす旺盛な造弧力,多中心性,順列的蓮鎮群はか玉る力をnaiveに表現する所の微妙表現性のためで,本質的には同様の力を受けながら第4圖に示す如く海岸列ではその地域の特徴である粗大表現性のためにたゞ第一次的雁行をなす紡錘状輪廓のシホタ山脈,東滿山地,山東半島及び山地,南支山系を生じたと考へられる。