地理学評論
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波浮灣の海洋學的研究 特に紫硫黄菌の發生に及ぼす水質の特性に就て
尾原 信彦
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1941 年 17 巻 3 号 p. 189-206

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抄録

低位置カルデラの舊火口壁の一部が破れて海水を湛へた波浮灣は,其故に灣口より灣奥の水深の方が著しく大きい。從つて海水は完全に停滯し,中層以下 (7.5~19.5m) に無酸素で而も多量の硫化水素を含む層が發達してゐる。盛夏の候此の停滯層に於ける水深約10mの水準の海水は,何れの地黙も美しい淡紅色を呈してゐた。それは此部分に紫硫黄菌Chromatiumが群聚した結果であつた。此現象と此灣の海水の物理化學的特性との相互關係に就て,海洋學的な立場から考察檢討を試み結論とした。

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