地理学評論
Online ISSN : 2185-1719
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
長野県七二会村に現存する土地割替制度
中村 慶三郎
著者情報
ジャーナル フリー

1957 年 30 巻 4 号 p. 301-304

詳細
抄録
長野県上水内郡七二会村五十平に現存する土地割替制度は割上げと呼ばれ,文化期頃に始まつて現在に至つている.この制度施行の要因は,地辷によつて生ずる不平等を是正することにあるが,これには2つの面があつて,1つは他の集団(隣接部落)との境界を改測すること,他の1つは同一集団内において土地の地味・水利・欠壊などにおける不平等をなるべくすくなくしようとすることである.
割上げは,地辷の変動がやゝ顕著な時に行われ,一定期間というものはないが,大体数年に1回の割合で行われる.土地は所有高に応じて抽選によつて割当てられる.
土地は共有の形になつてはいるが,地主の所有するものは土地利用権だけで,特定の場所ではない.
著者関連情報
© 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top