抄録
以上,荒廃地から運搬された河川運搬物質量および河床堆積物の粒度分布を調べ,さらに,荒廃山地の斜面物質と河床堆積物との関係を考察した.その結果はつぎのように要約される.
(1)松木川流域における1954年7・8月の増水時の調査では,荒廃山地から運搬される浮流物は多量で,河川運搬物のほとんど大半を占める.溶流物は源流部河川としては全般に多く,なかでも硫酸根が20~30ppmと増水中もほとんど稀釈されずに流出する.また,掃流物は16mm以上の移動礫を採取した結果では増水時中に運ばれる量が浮流物に比べ相当に少いようである.
(2)河床堆積物を篩分けた実測値と,荒廃裸地斜面の物質の粒度から求めた推定値とを比較した結果,両値のずれかたは荒廃の著しい地点ほど小さい.すなわち荒廃度の大きい地点は両値の平均粒径の偏倚および総偏倚値が小さいから,荒廃裸地の斜面物質が荒廃河川の河床堆積物に密接な関連をもっていることが知られる.
(3) さらに,松木川流域において,粒径の階級区分別に河床堆積物の実測値と推定値どを比較すると, 64~32mm, 32~16mm, 16~8mmの3階級の両値の偏倚は大きい.しかも,いずれの地点でも実測値のほうが推定値よりも小さい.すなわち,これら3階級の礫の河床での欠乏は,増水規模の発生頻度と流水の運搬能力に関係するようで,普通頻繁に発生する規模の増水では,この種の大きさの礫を境に運搬されるらしい.