抄録
以上のような資料処理を行つた結果知り得た若干のことがらを要約すると次のようである.
(i) 利根川本川中流部において,河床の堆積および洗掘傾向は交互に出現し,調査期間中堆積あるいは洗掘のみが行われた時期および区間はともに存在しない.堆積および洗掘区間は時間の経過とともに下流に移行するもののようである.
(ii) 第4図からこの区間は大略3つの部分に分けられる.すなわち,河床変動の比較的激しい区間 (A), 比較的河床変動の少い区間 (B), 河積の変動が河床高度の変動に較べて激しい区間 (C) である.
(iii) 平均河床高変動量ど河積変動量によつて示される堆積 (+), 洗掘 (-) の傾向は同一測点において一致しない場合があつた.これは洗掘および堆積の様相が複雑なために,河床の横断面形状が極めて不規則になるからであろう.
この稿を終えるにあたり,終始御指導を賜わつた東京教育大学の石川教授,町田助教授,市川・荒巻両理学士,その他御助言をいただいた教室関係の各位に厚く御礼申し上げる.