昭和33年9月26日東日本を襲つた台風22号(狩野川台風)による伊豆半島付近の詳細な降水量分布を検討した.本報の目的は,従来ほとんど取扱われなかつたマイクロないしはメソスケールの降水量分布を現象面で捉えることにある.とくにこの程度の規模の現象は,地形の影響を大きくうけるので,現存の観測網では容易に実態を把握できないが,共軸相関図の作成その他の若干の作業を行うことにより,できる限り資料的制約を克服するように努めた.内容的には次の点に大別される.
(1) 総降水量分布図の作成(分布図第3図). (2) 1時間降水量の時間的変化(第4図). (3) 面積雨量の時間的変化(第5図).
なお狭い地域内の量の分布に対する地形の影響,風上斜面と風下斜面との雨量差および高さによる雨量差などが如何に大きいかが第2図から知られる.