地理学評論
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東海村沿岸の地形変化について
茂木 昭夫
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1960 年 33 巻 8 号 p. 393-411

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抄録
1956年冬と1957年夏における調査結果から,海岸および海底の地形変化を考察した.その結果海岸線の形状にも cusp の週期に一致した週期があることを知つた.またこの週期よりもさらに大きい大週期があり,前者は個個の bar に,後者は連続した一連の bar にそれぞれ密接な関係が存在することを知つた.約20日間ごとに3回の海岸調査を行つた結果,海岸線は風が強吹した時, bar の所で後退し bar の切れ目の所で前進する傾向があり,風が弱まると逆の変化を示した.この地形変化の傾向と,地形・底質分布などから,筆者は, swash の影響の外に rip current の影響が,これらの海岸線の週期形成にあつかつていると判断した.海岸線も bar もともに1956年冬から1957年夏の間に,著しく南の方へ移動した.この移動は,同期間に吹いた北北東の風による,南向きの沿岸流のためであるらしい.それに伴つて bar の形態も若干変化したが,とくに bar の移動方向の尖端部で著しい非対称断面を作り後部ではゆるやかな断面を作る傾向を示した.海岸線の変化に伴つて cusp も変化したが,一般に海岸線が後退すると cusp はその大きさを増し,ついに消滅する傾向があり,海岸線の前進に際してはその逆を示す傾向があった.海岸は北部平坦部において侵蝕,その周辺で堆積されているが,前者の所では底質は粗粒化し,後者の所では細粒化した.
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