地理学評論
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33 巻, 8 号
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  • 茂木 昭夫
    1960 年 33 巻 8 号 p. 393-411
    発行日: 1960/08/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    1956年冬と1957年夏における調査結果から,海岸および海底の地形変化を考察した.その結果海岸線の形状にも cusp の週期に一致した週期があることを知つた.またこの週期よりもさらに大きい大週期があり,前者は個個の bar に,後者は連続した一連の bar にそれぞれ密接な関係が存在することを知つた.約20日間ごとに3回の海岸調査を行つた結果,海岸線は風が強吹した時, bar の所で後退し bar の切れ目の所で前進する傾向があり,風が弱まると逆の変化を示した.この地形変化の傾向と,地形・底質分布などから,筆者は, swash の影響の外に rip current の影響が,これらの海岸線の週期形成にあつかつていると判断した.海岸線も bar もともに1956年冬から1957年夏の間に,著しく南の方へ移動した.この移動は,同期間に吹いた北北東の風による,南向きの沿岸流のためであるらしい.それに伴つて bar の形態も若干変化したが,とくに bar の移動方向の尖端部で著しい非対称断面を作り後部ではゆるやかな断面を作る傾向を示した.海岸線の変化に伴つて cusp も変化したが,一般に海岸線が後退すると cusp はその大きさを増し,ついに消滅する傾向があり,海岸線の前進に際してはその逆を示す傾向があった.海岸は北部平坦部において侵蝕,その周辺で堆積されているが,前者の所では底質は粗粒化し,後者の所では細粒化した.
  • 竹内 淳彦
    1960 年 33 巻 8 号 p. 412-424
    発行日: 1960/08/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    わが国における自転車工場の分布,およびその立地要因につき検討した結果,次のような事実が明らかになつ.
    自動車工場の分布には販売上の要因が強く働いている.工場は「製造卸」の集中する東京,大阪,名古屋の3地域に全国総数の約75%が集中し,各地域内においても製造卸に近接した分布をとつている.すなわち,工場の分布を原則的に規定するものは「製造卸」なのである.
    しかし,製造卸地域という第1次立地網1)のなかにあつても,名古屋の場合を除き,東京,大阪では必ずしも工場の分布と製造卸のそれとは地区的に一致していない.東京では製造卸の鱒する台東区に対し,それ麟接する荒川地区に工場の集中が密である.これは安い労働力の存在,下請工場の分布などの要因によるものであり,また江東地区への集中は在来技術との関連が大である.大阪地域においては,製造卸地区たる大阪市東南部に対し,工場は饗地区に密集し,地域内において,原則的傾向を歪曲しているが,これは創生期における技術者の存在,安い労働力が豊富であることなどが主要因となつたものであり,それに,下請業者の存在,海外需要などの条件が加わつたものである.また,堺地区,荒川地区などには加算的な立地集積力も強く作用し,集中化に拍車をかけている.そして,これら工場の集中する東京,大阪,名古屋の3地域は,各地域の立地条件を反映して,それぞれに特色ある立地型を現出している.
  • 南 智
    1960 年 33 巻 8 号 p. 424-435
    発行日: 1960/08/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    明治後期から大正期にかけて用排水事業を中心とした土地改良が全国的に展開するが,この時期の耕地整理の過程を農村構造との関連において把握した.児島湾干拓地にある研究対象地域は近世後期に幾次にもわたる小規模な海面干拓によつて造成された新田地帯で,干拓当初から用水計画をもたず,また干拓地としてはまれにみる分散零細耕地形状を特色としていた.地主制の確立にともなつて,地主が指導層となつて土地改良の計画が生まれ,大正元年から地主的利益を中心とした耕地整理がおこなわれる.大正4年には用水機の設置,用排水路の整備が完了し,反収増加と増歩地がもたらされ地主層の耕地整理にかけた期待は一応果たされた.この事業はここで一たん中断されるが,大正末期になつて直接生産農民のなかから区劃整理,交換分合を中心とした耕地整理を推進する動きが生まれ,これが実施せられて労働生産力の発展がもたらされる.これは大正初期以降の著しい反収の増大と商品生産化を軸として農民層分解が進み,これを通じて直接生産農民のなかの農村実力派が地主層にかわつて農業技術の指導層となつてくる過程でもあつた.耕地整理の内容は農村構造のあり方に規定される.
  • 1960 年 33 巻 8 号 p. 436-446_2
    発行日: 1960/08/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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