地理学評論
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都市上空の気温の地理的分布
関口 武協力者
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1963 年 36 巻 10 号 p. 577-589

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抄録
都市内外の気温分布を測定するために,筆者等は感度のよいサーミスター温度計を使つての自動車による移動観測法を確立し,数多くの気温分布図をえがくことができたが,より代表性の大きい都市上層の気温分布を知ることを意図して,上層用の小型通風サーミスター温度計(全重量85gr)を試作し,これを100 grの測風用気球につけ,径0.3mmのビニール電線でつなぎ,この気球を携行して,移動観測する観測計画を実行した.観測を実施した高度は, 1) 都市の影響を顕著に反映し, 2) 気温の微変動の小さい気層という条件に合うものとして,地方都市については30m層を選定した.
その予備実験として,東京のNHK TV塔を使つて, 1957, 58年に高度別の気温の連続観測を実施し,同時に行われた風速観測の結果をも参考として,観測最適高度が,風速の極大層のすぐ下であること,この層の高さが,都市中心部の建物の平均高度の約3~5倍であることを知つた.地方都市の建物平均高度は7~8mなので, 30m層はほぼ妥当な高さと推定し, 1957年5月米沢で実施した地表と30m層との連続比較観測の結果,上記の推定の妥当性を判定し得た.
つぎに1957年10月大垣で行なつた上層気温分布観測の結果を整理し, 1) 都市域の高温が10m, 20m, 30mにまであらわれること, 2) 大垣市の発熱源は3つあり都心,西部,南部の工場地域であること, 3) 特に影響力の大きいのは都心で,これが典型的な都市気候分布を示すものであること, 4) 気温の逆転はまず市外におこり,都心部では深夜以後にこれがみられること,そして逆転層高度は市外地に低いことを知つた。
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