抄録
芸術事業にマーケティングの必要性が求められて久しいが、マーケティングに疑念を持つ意見も少なくない。その理由は、市場調査データの分析に基づいて、マーケティング戦略を組み立てることがまだ少ないからだと考える。
そこで、本稿では、音楽芸術事業において、どのようなマーケティング戦略が可能なのかを市場調査に基づくデータを用いて議論する。
データ分析に利用するのは、2005年にクラシック音楽やオークストラに関心を持つ首都圏の住民を対象に調査したデータである。
このデータによると、例えばクラシック音楽、オーケストラコンサートに少しだけ関心を持つ層(エントリー層)も実は多様であることがわかった。
そこで、本稿では、エントリー層の中でも特徴的な2つのグループと潜在層に関して、その特徴とクラシック音楽、オーケストラコンサートに対する傾向について、比較分析を行った。
その結果、それぞれの層は、クラシック音楽やオーケストラコンサートに対して違う特徴を有していることから、エントリー層といえども、同じアプローチでマーケティングを行うことは有効ではない。有効なマーケティングとは、このような市場調査に基づくデータを用いて、ターグティングした市場に対して、マーケティング戦略を組むことであるという結論が導かれた。