抄録
河川における磨滅・運搬過程を知る一方法として,安倍川・大井川・木曽川・長良川・物部川・揖斐川・庄川・手取川・犬上川・日野川の10河川における平野部分で,数種の32~16mm礫を用いて,円形度を測定し,その変化及び原因の考察を行なつた.
各河川とも,円形度の変化は礫質によつて異り,石灰岩礫は急激に円形化するのに,チャート礫はほとんど円形化が進まず,岩質による磨滅に著しく差異のあることを示す.また花崗岩・粘板岩・頁岩等は,その剥離性質のため,分裂・粉砕作用を受けやすい.
最も多くの河川に存在する砂岩礫を用いて,円形化の原因を考察すると,河床勾配の急な河川ほど,急激なことがわかる.しかし,流域面積に比して,河川幅員の非常に広い大井川では,平均円形度は上流から下流へかけてほとんど変らず,礫の磨滅に対して,乱流が大きな役割をはたしていることを示す.
礫の重量が減少する割合は河川の性質・運搬距離・礫質などによつて異るが,円形度を利用した推定結果では,わが国の河川砂礫は,一般的には渓口までで7%, 礫の分布限界あるいは河口まで9%程度減少するようである.さらに,これを基とした粒径変化に含まれる磨滅作用の割合は,平野部分では2%ほどで,残りの98%は篩分作用によるものと考えられる.
円形度の変化から,磨滅作用に対する岩石抵抗の関係を求めると,チャート・石英斑岩・流紋岩・砂岩・花崗岩・頁岩・粘板岩・石灰岩の順に弱くなる.