地理学評論
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関東地方における旧軍用地の工場地への転用について
宮木 貞夫
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1964 年 37 巻 9 号 p. 507-520

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抄録

軍事経済を支柱として発展した日本の資本主義体制では,土地利用の面でも軍事優先の原則は貫ぬかれ,工場用地に適した土地が軍用地として民間から隔離されていた.
第2次大戦が終り,広大な軍事施設が解放され,これらは工場などに利用されつつある.日本では旧軍用地は国有財産として,大戦後の経済発展に寄与するように転換が行なわれた.関東地方における旧軍用地は約1,100口座, 430km2で,現在農地に44%, 公共施設に30%, 米軍に14%, 防衛庁に8%, 工場には4%が利用されている.
首都防衛のため東京を中心に20~60kmの範囲内に軍用飛行場は38個所あり,これに演習場を加え,広範囲にわたり平担な地は大規模な工場の用地として最適で, 1950年以降転用が著しい.農地に転用された旧軍用地も工場化の傾向にあり,現在農地の33%が工場適地に指定されている.

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