抄録
地中の熱的特性が土壌水分の多寡に支配されることは物理実験的に証明されている。筆者はこれを気候学的立場から確認するために,地温の変化と降雨量との関係を観測と統計的処理により調査した.調査内容は次の3項目にわたる: 1) 普通の畑地と河岸の砂地での実測によって,地温の日変化に及ぼす降雨の影響.2) 都内2ヵ所の気象官署における定時観測値によって,地温の日々変化に及ぼす降雨の影響.3) 彦根,前橋などの気候資料によって,地温の経年変化に及ぼす降水の影響.その結果,取扱う時間の如何にかかわらず,土壌水分が僅少なとき地中の熱拡散率は比較的小さく,土壌水分が増大するに従い熱伝導率の大なる水の媒介で地中の熱拡散が盛んになるが,逆に水分過剰になると熱容量の増加により再び熱は伝わりにくくなることが分った.