地理学評論
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東京西郊における地温観測および地温に関する統計的研究(第2報)—地温分布に及ぼす土壌水分の影響—
福岡 義隆
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1967 年 40 巻 11 号 p. 644-653

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抄録

局地的な地温分布は,微地形や土壌水分に強く支配される.本報では特に後者の影響,すなわち地温と土壌水分の関係に注目して地温分布を調査した結果を報告する. 1964年の夏および冬の2回にわたり,東京西郊における約50km2の範囲について,地温(深さ75cm)の地理的分布をサーミスタ温度計による移動観測によって調べた.その結果,夏は低温域が谷沿いや畑地・林地に,高温域が家屋の密集地域に現われ,冬は谷位置の一部と市街地に低温域が,畑地(主に台地上)や林地に高温域が認められた.さらに,場所による差は夏に大きく,冬に小さいこともわかった.また,川岸近くの地点の多くは,異常な値を示している.これを一応土壌水分の影響とみなし川岸近くにおいて,地温と土壌水分の観測も補足的に行なった結果,みかけ上の関係は認められた.

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