地理学評論
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中京工業地帯の変容
栗原 光政
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1967 年 40 巻 2 号 p. 87-104

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抄録

中京工業地帯では,最近,重化学工業化が進んでいる.工業化の顕著な, 1956, 60, 63年について,工業従業者密度1方粁26人以上の125市町村を対象に,それぞれ全出荷額に対する重化学工業の出荷額比率を求め,重化学工業・準重化学工業・軽工業に区分し,重化学工業化地域を明らかにするのを目的とした.重化学工業は名古屋市を中核とし,これを取りまいて東に刈谷・豊田,西南に桑名・四日市,北に各務原の各地区に立地している.しかしこれら3地区は最近の工業化によって漸次一連の工業地域たらんとしつつある.この場合重化学工業化は伝統工業の集積地をさけ,工業集積度の低い地域に向けられている.
これら名古屋を中心とする40粁圏内に立地する周辺の重化学工業地と名古屋との関連を捉えるため,周辺地の主要機械工業 (13工場)を選び,その関連工場の地域別比率を求めると,いずれも名古屋に20~40%の関連工場を有している.これによると40粁圏外に立地する主要機械工場 (3) は名古屋に10%前後の関連工場を有する程度で,前者とは明瞭に区別される.名古屋を中心とする40粁圏内には,名古屋から進出する工場数も多く,重化学工業化も顕著で,この圏域内における重化学工業地・準重化学工業地が中京工業地帯の主要部をなすものと考える.

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