地理学評論
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北半球の前線帯の年変化
吉村 稔
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1967 年 40 巻 8 号 p. 393-408

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抄録
北半球の前線帯を前線頻度分布から明らかにし,合せてそれらの年変化を明らかにすることを試みた.
そのために1952年から1957年まで,毎日の北半球天気図から, 20°以北の前線頻度を月別に集計し,前線頻度分布図(Figs. 1-3)を作った.これらの前線帯はそれぞれ特有の年変化を示す.これをまとめ前線帯の年変化を示すカレンダー(Table1)を作成した.このカレンダーにもとずき,北半球全体として前線帯の年変化が, 5段階に分れることを明らかにした.これは緯度圏平均の前線頻度の年変化にも認められることをFig. 4に示した.さらに年変化の地域差を見るために, 4本の子午線断面について,年変化を示す図(Figs. 5-8)を作り比較検討した.その結果,ところによっては1カ月程度ずれる場合もあるが, 5段階の年変化は認められた.
これらの年変化を,従来の大気大循環の年変化に関する研究と比較した結果,上層の大気大循環にみられる年変化と一致しており,特定子午線上で見られた段階の遅速も,大気大循環の変化の遅速に一致することがわかった.
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