抄録
わが国における代表的な組立工業部門である電気機械器具工業の地域構造を,工場の分布,および下請の経常的結合関係を指標とした地域的生産体系から解明した.
日本における電気機器生産は京浜,阪神,中京,日立,京都,北九州などを主産地として行われているが,なかで京浜は全国の50%近い生産をあげ,しかも全部門,品目に及ぶなど圧倒的な地位を占めている.京浜において工場は東京の港区から川崎市にかけての城南地区にもっとも集中し,なかでも東京南部に“分布核心”を形造っている.この分布核心は多層的な親工場群と下請工場群の複雑な結合によって一大“技術集団”をなし,工場分布地域の拡大傾向にも拘らず,全京浜の地域的生産体系の核としての地位を保ちつづけるとともに京浜を中心とする電気機器工業発展の原動力となっている.