地理学評論
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大気汚染による日射量減少の都市気候学的研究—東京の場合(第1報)—
山下 脩二
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1970 年 43 巻 5 号 p. 285-296

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抄録
1967年8月1日から1968年7月31日までの1年間,東京の都心と郊外で,エブリー日射計を用いて日射量の連続観測を行なった.今回はそのうち,日射が雲に遮られることのない完全晴天日についてのみ考察した.都心部で地上に到達する日射量は大気上限の値の約60%であった.完全晴天日は海風北風,南風の場合にタイプ分けできる.都心部での日射量の減少示数は海風の場合約14%, 北風の場合約7%, 南風の場合約1%であった.日曜・祭日と週日の減少示数はそれぞれ約5%と10%で差が認められた.
都心部では蒸発によって失われる熱量が少いため,最高気温は周辺部より高くなるが,大気汚染が著しくなると,日射が遮られて,反対に最高気温は低下する.
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