地理学評論
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伊良湖岬付近における風とクロマツの塩風害の小気候学的調査
吉野 正敏大和田 道雄
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1970 年 43 巻 6 号 p. 347-356

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抄録
渥美半島の伊良湖岬付近において,風速・風向,クロマツの塩風害の実態,クロマツの葉に付着した塩分濃度,クロマツの偏形樹から推定した卓越風向の分布について調査した.その結果, i) 岬付近では小地形の影響で,風上側の強風に比較して風下側に渦を生じ,風速は弱まり,そのコントラストは明瞭である. ii) 塩風害は林の最前列から20~30m内陸に入ると,程度が急激に弱まる. iii) 特に梢の海側の葉の被害がいちじるしい. iv) 塩分濃度は, 10数時間,海の方から風が吹走すると,梢の海側の葉に高濃度が測定される. v) 遠州灘側の樹では梢の遠州灘側の葉に,伊勢湾側の樹では梢の伊勢湾側の葉に, 2~10倍も大きい塩素濃度が見出された. vi) クロマツの偏形樹から推定されたこの地域の卓越風向は,遠州灘海岸では南より,伊勢湾海岸では西よりである. vii) これは,上記の塩素濃度と塩風害の調査結果から考察して,いずれも海の方向からの風の影響が,それぞれ強いためと思われる.
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