地理学評論
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濃尾地震にともなう根尾谷断層の水平変位量—根尾村中地区の場合—
林 上
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1971 年 44 巻 12 号 p. 875-877

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抄録
冒頭で述べたように,濃尾地震直後における小藤文次郎の調査により本巣町金原地区において, 7.2mに及ぶ水平変位のあったことが報告されているが,筆者はこのたび根尾村中地区における同地震にともなう断層運動の水平変位を調査した.その結果,上述した地籍図と実測図との間における各境界線および道路の食違い量を水平変位量の近似値と考え, 7.4mの値を得た.この値は小藤の値とほぼ同じであるが,このように大きな水平変位が単に金原地区だけにあったにとどまらず,それより12kmも北西に位置する当地区においても発生していたことなどからみて,根尾谷断層は濃尾地震時の断層運動においても,広範囲にわたって「横ずれ断層」(水平成分⟩垂直成分)の性格をもっていることが裏付けられたといえよう.
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