地理学評論
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北海道における山村構造の変化
伊藤 久雄
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1971 年 44 巻 3 号 p. 155-167

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抄録

日高町・占冠村・白滝村・丸瀬布町は国有林が全面積の80%以上を占める山村である.何れの山村にも農業が行なわれ自然条件の相違により日高町は米作,占冠村は畑作と米作,白滝・丸瀬布両町村は畑作である.しかし零細農が多く生産性は低いので古くから林業労務者として国有林に依存していた.然るに近年は国有林の木材減少,林業用具の機械化効率化により林業依存から分離の傾向が生じその上製材工場の原料も不足するようになって林業依存の経済構造は変化しはじめた.その上近年山村に於ける交通の発達は都市との接触が繁くなり住民の視野を拡めるに至った.それに加えて経済の高度成長に伴なう都市の労働力吸引は国有林に支えられていた北海道山村にも離農の外に若年層の町外就職による人口減少が起こり人ロ構造は著しく変容している.

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