地理学評論
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エッセン旧市街の街路と広場
斎藤 光格
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1972 年 45 巻 5 号 p. 335-350

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抄録

エッセン旧市街を例として,工業化時代に都市中心部の中心が広場から街路に移ったことを明らかにした。1820年代には,エッセン旧市街の形態,商業機能,居住,社会生活の秩序は市場広場であるMarktを中心としていた.1900年頃には商業機能の中心はLimbeckerStr. で,広場はそのまわりに配置され,商業機能,社会生活の点でその補足的な意義を持ったにすぎない.現在はKettwigerStr. とLimbeckerStr.が中心商店街で,特に前者がぶらつき街の性格をあわせ持ち,中心をなしている.広場は新設された都市中心馨広場Cityplatzである三Kennedyplatzをはじめとして商業・業務中心の性格は少なく,都市共同体の威信の表現,集会の場としての意義もあいまいで,中心商店街に対して補足的地位にあるに過ぎない.エッセン市の一部の市民はこのような動向,すなわち広場の中心としての意義の喪失の動向を逆転し,広場中心に都市中心部を造り変えようとしぼしば試みたが,これまでのところ成功していない.

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