抄録
国際地理学連合の中に1960年に組織されたCommission on Agricultural Typologyの活動経過やその中間的成果については,これまでにも紹介してきた1)2)3).この委員会はその後, 1966年にメキシコシティ, 1968年にニューデリー, 1970年にベローナで研究集会を開いたほか,この分野に関心をもつと思われる世界の研究者に3回の質問状を出してその回答を求めた.そして1972年8月にはモントリオールで開かれる国際地理学会で第5回の全体集会を8日間にわた+ってもつことにしている。ベローナの集会では委員会の一つの作業として,「地域的研究のフレームワークとなる最少限の指標に基づいた世界農業タイポロジーの試案を作ること」が.きまり,その作成に委員長のコストロヴィッキーが当ってきたが,最近同氏からその成果, “The Typology of World Agriculture A Preliminary Scheme” (59 p.) が送られてきた.その内容には,委員会による従来の成果が全般的に集約されていることはいうまでもないが,どくに第3回の質問状に回答したFAOならびに18か国の29人の意見や, 10大学17人の討議参加者を得て作成されたソビエト連邦からの集団的回答が十分に検討された形で取りいれられている.モントリオールの集会では,委員会はおそらく世界全体の農業のタイプをきめる方法について一応の結論を引きだし,そのあとはその結論に基づいた詳細な地域的検討を各国の研究者に要請するものと予想されるが,この試案はその集会での中心的な討議素材として取りあげられるかと考えられるので,その集会に先きだって,その内容の概略を紹介しておきたい.ただしここでは主として結論的な部分の紹介にとどめ,立論の根拠や展開などについては,ある程度前報)2)3)で述べてきたので割愛する.