抄録
北アルプス,立山・劔岳連峰の内蔵之助圏谷において, 1) 形成途上のprotalus rampart の形成機構にっいて, 2) glacial moraineといわれてきた岩屑丘について,岩屑の重なり方・その岩種および周囲の地質から岩屑の運搬されてきた方向とその供給源の関係を調べた.
その結果, 1) protalus rampartを形成する主営力は従来からいわれている rock fallによるのではなく,夏季の台風時のwet debris flowであった. 2) glacial moraineといわれてきた岩屑丘を二区分した. a) 一つは東西方向にその長軸をもつ花崗閃緑岩の岩塊からなる岩屑丘で, rock fallによるprotalus rampartであった. b) 他は南北方向にその長軸をもつ花歯岩の細粒岩屑からなる岩屑丘で,その形成営力は wet debris flowによっても可能であることがいえる.