地理学評論
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村落の共同体的性格と離村形態
四国山地南東部名留川部落の事例
篠原 重則
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1974 年 47 巻 1 号 p. 41-55

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抄録
本研究は,村落の共同体的な性格が,離村形態や集落の変貌過程にどのように反映しているかを究明することを目的とした.事例調査地としては,人口減少率が高く,共同体的な性格の濃厚な集落の多い四国山地南東部のうちで,高知県東洋町名留川部落を対象とした.
名留川部落は共有林が多く,集落内に同族・姻戚の関係が多く,共同体的な性格がつよい.人口流出は1960年ころから激増するが,離村民は大阪府下淀川左岸において,建売住宅関係の仕事に従事するものが多い.彼等は関連業種において協業関係にある.また,「名留川会」なる部落組織を離村先で結成している.転出戸の耕地は残存戸にヤミ小作に出す形において耕作されており.その空屋も残存戸によって管理されている.それらは集落内の隣人・親族関係が利用されている.ここに離村形態にも,集落の変貌過程にも,旧来の共同体的組織が大きな影響を与えていることを認めることができる.
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