地理学評論
Online ISSN : 2185-1719
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
47 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 松井 貞雄
    1974 年 47 巻 1 号 p. 1-20
    発行日: 1974/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    岡山県の温室ブドウ栽培農家は,経済の高度成長下で生産規模の大型化をせまられた.温室農家の対応の仕方は地域によって異なり,水稲作との複合経営地域では兼業農家に変化して園芸規模の拡張は停滞し,桃栽培との複合経営地域では園芸規模の拡張をすすめている.こうして岡山県の温室ブドウ園芸は果樹作地域で発展をみ,加温栽培が増加して,高級温室ブドウの出荷期は長期化した.
    以上の調査結果を通して,以下の点を強調したい.労働市場への近接性において,また自然条件において,それぞれ大差はないのに,変容に地域差があるのは,経済の高度成長政策を受けとめる複合経営の差異であり,また国の農業政策に対応するタイミングの適不適にかかわる人為的なものである.また集約的農業を代表する温室園芸といえども,経営の大型化を余儀なくされる過程で,農家は階層分化し,産地は地域分化を急速に進めている.加えて工業化・都市化の著しい岡山市近郊においてもなお,組織的な園芸拡張の動向がみられることを報告する.
  • 坂口 慶治
    1974 年 47 巻 1 号 p. 21-40
    発行日: 1974/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    丹波高地東部の由良川中流域に生じた廃村3例をとりあげ,それらの比較研究によって,廃村化の過程と機構を解明しようと試みた.
    ここは,太平洋・日本海両斜面を流れる諸河川の源流域とは対照的に,近距離指向離村の性格が著しく,集団離村もその一環として実現したものと考えられる. 3廃村についてみれば,それらの立地環境,とくに隔絶性の強弱が廃村化に重要な影響を及ぼしたことが判明した.すなわち隔絶性が強ければ,生活利便指向性の上層先行型近距離離村が生じ,耕地保留離村が多いために耕地が荒廃しやすく,それによって廃村化が促進される.これに対し,隔絶性が弱ければ,経済指向性の下層先行型遠距離離村が生じ,集落はさほど動揺しないけれども,他面では村外者の耕地所有率が高くなりがちである.このような傾向が強まった場合は,経済変動による一斉的な耕地放棄が生じて,廃村化を促す.そしてこれらの荒廃過程は,集落形態や所有耕地の分布形態と密接に関わりあっており,また,各村落のコミュニティ形態との間にも強い関連性が認められる.
  • 四国山地南東部名留川部落の事例
    篠原 重則
    1974 年 47 巻 1 号 p. 41-55
    発行日: 1974/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,村落の共同体的な性格が,離村形態や集落の変貌過程にどのように反映しているかを究明することを目的とした.事例調査地としては,人口減少率が高く,共同体的な性格の濃厚な集落の多い四国山地南東部のうちで,高知県東洋町名留川部落を対象とした.
    名留川部落は共有林が多く,集落内に同族・姻戚の関係が多く,共同体的な性格がつよい.人口流出は1960年ころから激増するが,離村民は大阪府下淀川左岸において,建売住宅関係の仕事に従事するものが多い.彼等は関連業種において協業関係にある.また,「名留川会」なる部落組織を離村先で結成している.転出戸の耕地は残存戸にヤミ小作に出す形において耕作されており.その空屋も残存戸によって管理されている.それらは集落内の隣人・親族関係が利用されている.ここに離村形態にも,集落の変貌過程にも,旧来の共同体的組織が大きな影響を与えていることを認めることができる.
  • 片山 功仁慧
    1974 年 47 巻 1 号 p. 56-64
    発行日: 1974/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 47 巻 1 号 p. 65-71_2
    発行日: 1974/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
feedback
Top