地理学評論
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山地斜面の安定性に対する地形,地質,植生の関与の度合
大森 博雄
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1974 年 47 巻 10 号 p. 633-652

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抄録

山地斜面の安定・不安定の程度は,地形,地質,植生などの多くの異なった要因の複雑なからみ合いに支配されている.これらの要因と斜面の安定性との関係は,これまでもしばしぼ論じられてきた.しかしながら,これらの要因の作用を総合的にとらえての検討は少なく,また,定性的である場合が多い.斜面の安定性や斜面災害の危険度を予測する場合,これら多くの要因の安定性に対する関与の度合(重み)や,多くの要因の作用の総合量を知ることが重要である.そこで,これまでもしぼしぼ扱われてきたいくつかの要因にっいて,それらの斜面の安定性に対する関与の度合を数量化し,その結果について比較・検討を行なってみた.今回は,崩壊現象を指標にし,安定グループ(非崩壊地のみからなるメッシュの集団)と不安定グループ(崩壊地を含むメッシュの集団)とを判別する上で果す各要因の最大寄与率を安定性に対する関与の度合(重み)として算出した.
求められた各種の重みは,これまで定性的に論じられてきたこととほぼ同様の傾向を示し,また,判別結果もとりあげた地形,地質,植生の各要因が斜面の安定性に大きく関与していることを示している.

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